モリブデンの特徴

 

①高融点金属 融点:2610℃ 沸点:4827℃

モリブデンは金属として5番目に融点が高く、融点は2610℃の「高融点金属」です。

他の金属と比較すると、高温度領域の強度が他の高融点金属より高くなっています。

 

②耐腐食※1 / 高熱伝導:(300 K) 138 W/(m·K) / 低熱膨張:(25 °C) 4.8 µm/(m·K)

高温化で高い強度を得られるため、腐食に対する耐性、高い熱伝導率、熱膨張率が低いことなど、

他の金属と比較し優れた特性があります。

※1硫酸、塩酸、弗酸、硝酸、硫黄などには腐食します。ご使用の流体での耐腐食について必ずご確認下さい。

 

③電気抵抗率が大きい:(20 °C) 53.4 nΩ·m

比較的大きな電気抵抗を有しています。

 

④脆性材料 常温:進展率5%

常温下ではモリブデンは伸び率が5%と低く「脆性材料」となります。

⑤鋳造・圧延可能(高温条件に限る)

高温下では展性・延性に優れ、鋳造・圧延が容易になります。

⑥粉末冶金による材料製造

まず、モリブデン鉱石を材料にしてモリブデン粉末を生成します。

その粉末を原料として、型に入れて圧縮し、焼結することで板材・棒材などを成形します。

このような粉末の金属を焼き固める工法を粉末冶金(ふんまつやきん)といいます。

単体のモリブデン粉末を使用すれば、純モリブデンとなります。他の金属粉とモリブデン粉末を混合した粉末を使用すれば、モリブデン合金を作ることも可能です。

使用用途

近年、厳しい高温環境で使われる部品や電子部品の性能向上目的で

 「純モリブデンを採用したい!」

 「既存部品の材質を純モリブデンに変更したい!」

というご検討をされるような状況が増えてきています。

主に、以下のような用途で用いられています。

①宇宙・防衛:ロケット/ミサイルの燃料噴射ノズル

②高温電気炉・溶解炉・真空炉:ヒータ/リフレクター(炉内の温度を均一化するもの)、坩堝(るつぼ)

③金属加工:熱間加工用ダイス、鍛造用金型、治工具

④電気電子:導体用ターゲット、液晶用ターゲット、電子管、電球、電極、幅広蓄電池、ヒーター

⑤医療機器:X線管陽極支持軸